帝王切開でも骨盤はゆがむ!?帝王切開後の骨盤ケア方法
腰痛がひどくなった…、体型が戻らず妊娠前のパンツやスカートが入らない…など、産後もママさんの悩みはつきません。
このような全身のさまざまな症状を引き起こす原因となるのが、“骨盤のゆがみ"です。
「出産すると骨盤が開く・広がる」と、聞いたことがありませんか?
赤ちゃんの頭の大きさは、直径約10㎝。
これは、ソフトボールと同じくらいの大きさです。
その大きさを考えると、骨盤がゆがむのは当然のようにも感じますよね。
骨盤のゆがみを解消するために、骨盤矯正を行っている人も多いでしょう。
しかし、帝王切開の場合はどうでしょうか?
経膣分娩と違い、骨盤にゆがみは生じない?
産後の骨盤矯正はいつ始めるべき?
今回は、『帝王切開の骨盤への影響や骨盤矯正』についてご紹介します。
そもそも帝王切開とは?
帝王切開は、医師によって、経膣分娩よりも帝王切開の方がより安全であると判断されたときに選択される分娩方法です。
母体や赤ちゃんへの負担が少ないというメリットがあります。
年間の出産件数は減っているものの、帝王切開手術の割合は増加傾向にあり、現在では5人に1人が帝王切開での出産だといわれています。
ちなみに、みなさんも一度は聞いたことがある「自然分娩」。
実は、明確な定義がないというのをご存知ですか?
一般的に、医療介入がされず、自然の流れで行われる経膣分娩を自然分娩といいます。
しかし、陣痛促進剤などの医療介入が行われた場合でも、経膣分娩であれば自然分娩であると捉える人もおり、その定義は医療施設によって異なります。
なお、経膣分娩とは膣を通じて胎児を出産することで、無痛分娩もそのひとつですが、無痛分娩は医療介入があるため自然分娩ではないと考えられるのが一般的です。
(参考:平成22年度我が国の保健統計―厚生労働省)
帝王切開の「帝王」とは?
ここで、帝王切開という名前の由来について、5つの説をご紹介しましょう。
みなさんも「帝王切開の帝王ってなに?」と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
1.古代ローマの英雄・カエサルは帝王切開だった!?
2.シザー(scissors)とシーザー(Caesar)
3.シェークスピアの四大悲劇『マクベス』
4.中国の皇帝は、みんな帝王切開!?
5.『caesarea(切り分けられたもの)』
【帝王切開の由来】
1.古代ローマの英雄・カエサルは帝王切開だった!?
カエサルとは、ガイウス・ユリウス・カエサル(英語読みでは、ジュリアス・シーザー)のことです。
「賽(さい)は投げられた」や「ブルータス、お前もか」などの言葉でも有名ですよね。
そのカエサルですが、実は、帝王切開で生まれたという説があるのです。
その根拠とされているのが、次の記述です。
カエサルはその名を切り取られた母親の体内から得たのであり、その家名もまたどうようの起源を持っている。
ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(大プリニウス)著『博物誌』(Wikipediaより引用)
古代ローマには、遺児法(Lex Caesarea)と呼ばれる、妊婦が死亡した際には胎児を取り出さなければならないという法律がありました。
つまり、当時の帝王切開は、母親が死んだときに子供だけでも助けるための手術であり、もし本当にカエサルが帝王切開で生まれたならば、母親はカエサルを出産したときになくなっていることになります。
しかし、カエサルは後に生母に向けて手紙を書いてるという点や同じ母親から生まれた妹もいるという点から現在ではこの説は否定されています。
【帝王切開の由来】
2.シザー(scissors)とシーザー(Caesar)
帝王切開には、子宮をハサミで切るという意味がありました。
このハサミを指す英単語が、「シザー(scissors)」です。
これが古代ローマの英雄・シーザー(カエサル)と読み間違えられたため、帝王切開と呼ばれるようになったという説があります。
ちなみに、カエサルは皇帝ではありません。
しかし、事実上、皇帝と等しい権力を持ち、ローマ帝国の礎を築いたことから、ヨーロッパでは皇帝を意味する単語として「カエサル」に由来するものが多く使用されています。
【帝王切開の由来】
3.シェークスピアの四大悲劇『マクベス』
シェイクスピアの四代悲劇といえば、『オセロー』『リア王』『ハムレット』『マクベス』ですが、帝王切開という語が、この『マクベス』に由来するという説があるのです。
まずは、簡単なあらすじをご紹介しましょう。
物語は、勇敢だが小心な一面もある将軍マクベスが、嵐の中で魔女に出会うところから始まります。
そこで、魔女たちは「あなたはやがて王になるだろう」という予言をするのです。
その後、妻と謀って主君を暗殺し、王の座に就いたマクベスは、その重圧に耐えられず、周りの人間を次々に殺害していきます。
心の安定を得られないマクベスは、再び魔女たちのもとへ向かい、そこでこう告げられるのでした。
「女の股から生まれた者(one of woman borne)には、お前を倒せない」
やがて、マクベスにより国を追われた者たちが、前王の子と貴族マクダフを中心として、攻め込んできます。
マクベスは、魔女の言葉から自分の地位の安泰を確信し、戦いに応じました。
しかし、マクダフは「私は母親の腹を裂いて取り出されたのだ」といって、マクベスにきりかかります。
そして、ついにマクベスは復讐に倒れるのでした。
その後、前王の子が新たな帝王になったという話から帝王切開の語源をシェークスピアの『マクベス』にあるとする説が生まれたのです。
【帝王切開の由来】
4.中国の皇帝は、みんな帝王切開!?
中国の皇帝は、占星術によって誕生日が決められていました。
そのため、その誕生日に合わせて帝王切開で出産していたことを帝王切開の語源とする説があります。
しかし、「帝王切開」の語は、中国を経由したものではないことが明確なので、現在ではこの説は誤りだと考えられています。
【帝王切開の由来】
5.『caesarea(切り分けられたもの)』
前述の「遺児法(Lex Caesarea)」という語は、亡くなった母親の体内から取り出された遺児が、切り取られたものという意味で「カエソ(caeso)」や「カエサル(caesar)」と呼ばれていたことに由来します。
一方で、分家を本家から切り取られたという意味で「カエサル(Caesar)」と呼ぶこともありました。
ガイウス・ユリウス・カエサル(Gaius lulius Caesar)もその一人で、ユリウス家の分家であることを示しています。
ちなみに、古代ローマ人の名前は、個人名・氏族名・家名の順序で表されます。
帝王切開をラテン語で書くと、「sectio caesarea」。
これは、本来「胎児の切り分け」を意味していました。
しかし、「caesarea(切り分けられたもの)」という意味が失われ、「Caesar(皇帝)」の方が残り、結果として、「帝王切開」としか訳すことができなくなったのです。
(参考:帝王切開ーWikipedia)
帝王切開でも骨盤はゆがみます!
骨盤のゆがみは、赤ちゃんが産道を通って産まれることが原因だと考える人も多いのではないでしょうか?
しかし、帝王切開の場合でも骨盤にゆがみは起こるのです。
骨盤のゆがみには、妊娠から出産にかけて分泌されるリラキシンというホルモンが関係しています。
実は、私たちの骨盤には、朝に閉じ、夜に開くというリズムがあり、妊娠しているかどうかにかかわらず、毎日開いたり閉じたりを繰り返しているのです。
しかし、妊娠中の骨盤は、リラキシンの影響で、通常よりも大きく開くようになります。
これは、出産時に赤ちゃんが産道をスムーズに通れるようにするためです。
通常、リラキシンの分泌は、産後2~3日で止まります。
しかし、リラキシンが分泌されなくなっても一度開いた骨盤はすぐには戻りません。
一般的に、もとに戻るまでにかかる期間は3か月とされていますが、出産時の年齢や普段の姿勢などによっては、半年以上かかることもあります。
また、もともとの姿勢の悪さによっても骨盤がゆがむことがあります。
産後骨盤ケア①帝王切開でもすぐできる!?『産褥体操』
帝王切開で出産すると、傷口が開かないか心配ですよね。
しかし、帝王切開の場合でも『産褥体操』は産後すぐに行うことができます。
産褥体操とは、産後6~8週までの、体が妊娠前の状態に戻る「産褥期」に行う運動です。
骨盤のゆがみを改善するだけでなく、体の機能を整え、回復を助ける働きがあります。
産褥体操を行うと「体の回復が早い」「痩せやすい」と実感したママが多いそうですよ。
あくまでもむりをしないように、まずは、基本となる呼吸法から始めてみましょう。
呼吸なんて簡単すぎて本当に効果があるの…?と思うかもしれませんが、呼吸法を変えるだけでエネルギー消費量も大きく変わります。
基本ポーズ
1.ベッドや布団に仰向けになり、体の力を抜いてリラックスしましょう。
2.両足をゆっくり曲げ、膝を立てます。
3.手のひらは開いたまま、腕は横に置いてください。
腹式呼吸
1.基本ポーズから手のひらをお腹の上にのせます。
2.お腹を意識して、ゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませた状態で、数秒息を止めましょう。
3.次は、ゆっくりと息を吐きながら、お腹をへこませます。
4.2と3の動作を5回繰り返します。
5.新鮮な空気をお腹に取り込むイメージで行いましょう。
胸式呼吸
1.基本ポーズから手のひらを胸の上にのせてください。
2.胸を意識して、ゆっくりと息を吸い込み、胸を膨らませた状態で、数秒息を止めましょう。
3.次は、ゆっくりと息を吐きながら、胸をへこませます。
4.2と3の動作を5回繰り返します。
5.お腹に力を入れないように意識してください。
【注意!】
・食前や食後すぐの運動は避けましょう。
・発熱があるときに行ってはいけません。
・疲れがたまっているときや眠気が強いときは行わないようにしてください。
・体調が悪くなったらすぐに中断しましょう。
・むりに回数を増やしてはいけません。
帝王切開などの場合、体力の回復が遅くなります。
急いで産褥体操を始めるのではなく、先生や自分の体とも相談して行いましょう。
入院していた病院のパンフレットにも載っていると思いますので、そちらの方も参考にしてみてください。
(参考:産褥体操1日目―eにんしん)
産後骨盤ケア②普段の生活で簡単矯正『骨盤ベルト・ショーツ』
一度開いてしまった骨盤が、自然にもとの位置に戻るのは簡単なことではありません。
そこでおすすめなのが『骨盤ベルト』。
骨盤ベルトは、産後すぐ使え、開いた骨盤をしめるサポートをしてくれるアイテムです。
一番の効果は、骨盤が安定し、正しい位置に戻りやすくなるということ。
忙しい産後のママさんも、骨盤ベルトがあれば、日常生活で体をケアすることができます。
骨盤ベルトの巻く際、ポイントとなる骨は、おへそからまっすぐ下に指を降ろすと当たる「恥骨」とその外側に指をたどると当たる「大転子(だいてんし)」です。
この恥骨と大転子を結ぶラインに骨盤ベルトを巻いて使用します。
きつく巻くほど効果があるように思われがちですが、きつすぎると血流が滞り、腰痛やむくみを引き起こしてしまいます。
正座をしてもつらくない程度の強さで利用しましょう。
体を動かしているとずれやすいので、家事や散歩の後には、ずれていないかを確認してくださいね。
また、骨盤ベルトの締め付けが苦手…という方には『骨盤ショーツ』がおすすめです。
着用するだけで骨盤を正しい位置に導いてくれます。
帝王切開の場合、傷口に当たって痛いということもあるかもしれません。
傷口に当たらないデザインを選ぶと良いでしょう。
骨盤ベルトや骨盤ショーツを選ぶ際は、次の3つのポイントに注意しましょう。
1.サイズ
きちんと、自分に合ったサイズのものを選びましょう。
骨盤ベルトの場合、ベルト本体に伸縮性のあるものやサイズ調節ができるものであれば、体型の変化に対応できるので安心です。
また、骨盤ショーツは、普段のショーツと同じ感覚でずっと着用するものです。
しめつけがきついものを着用すると、血行が悪くなってしまいます。
骨盤矯正ショーツは小さめに作られているものが多いので、口コミを参考にすると良いでしょう。
2.伸縮性
適度な伸縮性がないと、骨盤をしっかり保護することはできません。
伸縮性があり、骨盤をしっかりサポートしてくれるショーツを選びましょう。
3.通気性
特に、骨盤ショーツは直接肌に身につけるものです。
産後の肌は、デリケートな状態なので、蒸れて、皮膚がかぶれてしまうことがあります。
通気性が良く、蒸れが防げそうなものを選びましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、帝王切開の場合の産後の骨盤矯正についてご紹介しました。
帝王切開だからといって、骨盤にゆがみが生じないということはないのです。
産褥体操や骨盤矯正ベルトなどで、しっかりと産後の骨盤ケアを行っていきましょう。
ただし、むりをしてはいけません。
まずはご自身の体の回復を第一に考えてくださいね。
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