自律神経失調症の原因はストレスだった!自律神経失調症とストレスの関係

2018年6月16日

 

・何もしていないのに息苦しい
・便秘や下痢などお腹の調子が良くない
・心臓が急にバクバクする
・疲れているのになかなか寝付けない
・ちょっとしたことで息が切れる

 

このような症状に心当たりはありませんか?
たくさん当てはまったというあなたは、自律神経失調症かもしれません。

 

自律神経失調症は、心身にさまざまな症状を引き起こすものです。

 

特に、大きな原因として考えられている“ストレス"。
今回は、自律神経失調症とストレスの関係をもとに、予防としてのストレス解消法やストレスとの上手な付き合い方をみていきましょう。

 

そもそも自律神経とは?

 

自律神経とは、循環器、消化器、呼吸器など、生命の維持にかかわるあらゆる器官の活動を調整するための神経です。

 

この神経は自分の意志とは関係なく、無意識に働いています。
起きている時も寝ている時も私たちの身体が正常に動いているのは、この神経のおかげです。

 

自律神経には、体の活動時や昼間に活発になる交感神経と安静時や夜に活発になる副交感神経があります。
この2つのバランスが崩れると、体に様々な不調が現れるようになります。

 

簡単!セルフチェック

まずは、あなたの自律神経の状態をチェックしてみましょう。
インターネット上で、簡単に調べることができます。

 

もしかすると、自分で思っている以上に、自律神経が乱れている可能性もあります。

 

「自律神経乱れ度」チェックーDoctors Me(ドクターズミー)

 

いかがでしたでしょうか?
数分で検査することができますので、定期的にチェックしてみてくださいね。

 

自律神経失調症の症状

自律神経失調症の症状は、実にさまざまです。

 

1つの症状が現れるのではなく、同時にいくつかの症状が現れる場合もあります。
また、「最初はめまいや立ちくらみで悩んでいたのに、次は頭痛が…」というように、ずっと同じ症状が続くのではなく、だんだん症状が変わっていくのも自律神経失調症の特徴です。

 

・よくめまいや耳鳴り、立ちくらみが起きる
・急に息苦しくなることがある
・心臓がいきなりバクバクしたり、脈拍が飛んだりすることがある
・体がだるい
・太陽や蛍光灯などの光がやけにまぶしく感じる
・顔や手足に異常に汗をかく
・ろれつが回らない
・便秘と下痢を繰り返している
・十分に寝ているのに、日中、強い睡魔に襲われる
・怖い夢をみる
・感情の起伏が激しい
・風邪をひいているわけでもないのに、せきがとまらない
・やる気が出ない
・手足にしびれを感じる
・残尿感がある

 

このように身体的にも精神的にもたくさんの症状があります。

 

自律神経失調症4つのタイプ

 

自律神経失調症には、4つのタイプが存在します。

1.本態性型自律神経失調症

2.神経症型自律神経失調症

3.心身症型自律神経失調症

4.抑うつ型自律神経失調症


 

【自律神経失調症のタイプ】

1.本態性型自律神経失調症

低血圧や虚弱体質など、生まれつきの体質が原因となって、自律神経に乱れが生じやすいタイプです。
体質を改善するために、生活習慣を見直すと良いでしょう。

 

【自律神経失調症のタイプ】

2.神経症型自律神経失調症

自身の体調の変化に敏感な人にみられます。
心理的な影響に左右されやすく、感情の移り変わりが体に現れます。

 

【自律神経失調症のタイプ】

3.心身症型自律神経失調症

日常生活でのストレスが原因となり、心身にさまざまな症状が現れます。
自律神経失調症の約半分がそのタイプだといわれています。

 

【自律神経失調症のタイプ】

4.抑うつ型自律神経失調症

心身型自律神経失調症がさらに進行した場合、このタイプに分類されます。
ストレスの慢性的な蓄積が原因となり、やる気が出ないなどの精神的な症状のほか、微熱や頭痛、食欲不振、不眠などの身体的な症状も現れます。
病院に行っても身体的な症状の改善のための対処療法しか受けられず、精神的な症状に対する適切な治療が行われないことがあり、長期間、不快な症状に苦しむ人も少なくないようです。

 

自律神経失調症の原因はストレス

自律神経失調症の原因として、ストレスが挙げられます。

 

仕事関係や人間関係などのストレスに負けまいと頑張りすぎてはいませんか?

 

人間の体には、生まれつき、体温や血糖値などを常に一定に保つ恒常性が備わっています。
そのため、この恒常性を崩そうとするような外部の刺激に対しては、体のあらゆる機能を駆使して、抵抗します。

 

この身体の反応をストレス反応と呼びます。

 

「職場での人間関係も良いし、ストレスなんてあまり感じていないのに、なぜか夜眠れない…」という人もいらっしゃるでしょう。

 

ストレスと聞くと、人間関係の悩みや不安による精神的なストレスを想像する人が多いようです。

 

しかし、過労やケガ、骨盤のゆがみなども体や脳にストレスを与えてしまうのです。
また、排気ガスや栄養不足、さらには、音や光、温度なども身体的なストレスとなります。

 

ストレスは、交感神経を優位にします。
ストレス過多の現代社会では、交感神経ばかりが働いてしまい、副交感神経が十分に働けないため、自律神経のバランスが乱れてしまうのです。

 

ストレスゼロは危険!?

 

「じゃあ、ストレスを完全になくせば良いの?」と考える方もいると思います。

 

ストレスがまったくない状態では、人間はどのようになってしまうのでしょうか?

 

実は、これを調べるために実験を行った心理学者がいます。
1951年、カナダの心理学者ドナルド・ヘッブによる『感覚遮断』という実験です。

 

感覚遮断とは、外部の刺激を限りなく少なくする、または、外部の刺激を完全になくすなど、現実世界と切り離されたような状態を指します。

 

ヘッブは、日給20ドルで、被験者として学生を集めました。
1950年当時は、1ドル=360円でしたから、学生にとっては大変魅力的なアルバイトだたでしょう。

 

まず、学生たちは、半透明のゴーグルとホワイトノイズというあらる周波数のノイズを発するヘッドホンをつけられ、腕から指先は大きなボール紙の筒で覆われました。
そして、ベッドひとつしか置けないほどの小さな部屋に閉じ込められ、食事とトイレ以外はベッドの上で寝ることしかできない状況に置かれます。

 

こうした状態が続くと、次第に、学生たちに変化が訪れ始めます。
独り言が増え、急に大声で歌いだしたり、口笛を吹いたりと妙な行動をとりだしたのです。
さらに、数時間後に行われた知能検査では、ほとんど全員の成績が低下。
幻聴や幻覚が現れたという人もいたようです。

結果的に、全員が耐えられずにリタイアし、6週間行われるはずだった実験は、数日で終了することとなりました。

 

実験の結果は、1957年、研究チームの1人であったウッドバーン・ヘロンによって発表されています。

 

この実験で、明らかになったのは、次の2つです。

 

1つ目は、ストレスが人間の心身のバランスを保つうえで重要であるということ。

 

この実験で、学生たちは、感覚が遮断されている以外、食事も与えられ、温度も湿度も調整された快適な環境にいました。
しかし、ほとんどの学生が集中力や思考力が低下し、心身の違和感を訴えました。

 

つまり、人間の感覚や知覚機能は、外部のさまざまな刺激を感じることで、正常に保たれているといえるのです。

 

過度なストレスが体に毒であることは間違いないでしょう。
しかし、ストレスがまったくない状態は、逆に心身に恐ろしい悪影響を与えてしまいます。

 

2つ目は、外部の刺激がなくなると、他人にコントロールされやすくなるということ。

実は、この実験では、別の検証も行われています。
ヘッブは、普段なら当然反発されるようなオカルト的な内容の音声を聞かせました。

 

すると、学生たちは、その内容を安易に受け入れたのです。
実験が終わった後も、非現実的な考えから抜け出せなくなってしまった人もいたといいます。

 

つまり、外部の刺激がない状態では、今まで培われた知識や経験が簡単に排除され、どんな情報でも受け入れてしまうといえるのです。

 

ストレスにはプラスの効果がある?『ヤ―キース・ドットソンの法則』

 

さらに、興味深い実験をご紹介しましょう。

 

ロバート・ヤーキースとJ・D・ドットソンは、ネズミを用いた実験を通して、ある法則を発見しました。
この実験は、ネズミを白と黒の目印を区別することができるように訓練し、間違えた時には、電気ショックを流し、学習を促すというものです。

 

その結果、正答率は、電気ショックを強くするにつれて上がっていくが、あまりにも強くしすぎると逆に下がっていくことがわかりました。

 

つまり、適度な電気ショックを与えられたとき、ネズミは良く学習するのです。

 

このことは、人間にも応用されます。

 

ストレスなどの外部の刺激が適度にあるとき、もっとも高いパフォーマンスを示すということです。

 

これを実験を行った2人の心理学者の名前から『ヤ―キース・ドットソンの法則』と呼ばれています。

 

この法則は、日常生活でもなじみのあるものなのではないでしょうか。

 

例えば、学生時代。
宿題の締め切りが迫ってくると、集中力が増し、進捗が格段に早くなるという経験をされた方いらっしゃると思います。

しかし、重いプレッシャーや過度のストレスがかかったときはどうでしたか?

 

「ここぞという場面でミスをした…」という苦い思い出もある方もいらっしゃるでしょう。

 

「適度」がどの程度なのかは人によって違います。

 

自分にとってのストレスとはなんなのか、また、その程度を知り、正しく対応することができると、良い効果ももたらすのです。

 

「ストレスは、人生のスパイスである」

 

これは、ストレス研究でノーベル医学賞を受賞した生理学者ハンス・セリエの言葉です。

 

実は、ストレスという言葉の生みの親でもあるのです。

 

また、彼は、このようにも述べています。

 

周囲の起こった出来事に対して、私たちの心身がその状態に適応しようとエネルギーが発生している状態をストレスという

 

つまり、ストレスをためすぎず、自分の心身の状態を考えながら、ストレスとうまく付き合っていくことが大切なのです。

 

ストレス過多の現代は、スパイスが多すぎる社会でもあります。

ちなみに、唐辛子など、本当のスパイスも交感神経を刺激するそうですよ。

 

あなたは大丈夫?ストレスをためやすい性格

 

ストレスには、個人の性格が大きく影響します。

1.完璧主義者

2.几帳面・細かい・まじめ

3.感情を抑え込む


 

【ストレスをためやすいタイプ】

1.完璧主義者

全てが完璧でないと気が済まない完璧主義の人は、自分自身にも強くストレスを感じてしまいます。
また、他人に対しても同様の完璧さを求めるため、余計にストレスを感じることもあります。

 

【ストレスをためやすいタイプ】

2.几帳面・細かい・まじめ

何事にも几帳面で細かい人は、ストレスをため込んでしまいます。
本当に時間が合っているのか不安になり、5分前に確認したスケジュール帳をまた確認してしまう…という経験をした方も多いのではないでしょうか。

 

このように、何度も確認を行うため、気付くと、仕事はほとんど進んでないということもあるでしょう。
確認作業は大切ですが、度が過ぎてしまうと、仕事の効率は落ちてしまいます。

 

ひたすら勤勉にもくもくと作業をこなすまじめな性格の人もストレスためやすい傾向にあります。
まじめだからといって、周りからの評価が高いというわけではなく、雰囲気になじめず、ストレスを感じてしまうこともあります。

 

【ストレスをためやすいタイプ】

3.感情を抑え込む

なにかいやなことがあったとき、それを考えないようにしても、結局それまで以上に強く意識してしまう…みなさんにもこんな経験がないですか?

 

これを科学的に証明する実験をご紹介します。

 

心理学者ダニエルウェグナーは、実験室に集めた数人の学生にこんなことを伝えました。

 

「これから5分間、シロクマのことを考えないでください」

 

それまで、シロクマなんて、学生たちの頭にはこれぽっちもありませんでした。
しかし、ウェグナーの言葉をきっかけに、学生たちの頭の中は、いきなり「シロクマ」でいっぱいになったのです。

 

この実験において、考えないようにすればするほど、余計に意識してしまうということが明らかになりました。
ウェグナーは、これを「皮肉なリバウンド効果」と呼んでいます。

 

これは、ストレスも同じです。
ストレスとなるものを考えないようにしても、それはより注意を向けてしまうこととなるため、問題を悪化させる可能性もあります。

 

(参考:ケリー・マクゴニガル著『スタンフォードの自分を変える教室』)

 

自律神経失調症5つの予防法

 

ストレスが大きな原因となる自律神経失調症は、誰にでも起こりうるものです。
自律神経失調症にならないためにも、次の5つの点を普段から心がけておきましょう。

1.規則正しい生活

2.睡眠

3.糖分・油分・アルコールは控えめに

4.趣味

5.ストレス解消


 

【自律神経失調症予防法】

1.規則正しい生活

規則正しい生活は、基本中の基本です。
しかし、この当たり前のことがなかなかできていない人も多いのです。
不規則な生活は、自律神経のバランスを乱してしまいます。

 

【自律神経失調症予防法】

2.睡眠

睡眠は、私たちの生活リズムにとって非常に大切です。
朝起きたときや日中眠くなったとき、日差しを浴びることで、体内時計がリセットされます。

 

また、昼寝も自律神経失調症の予防として効果的です。

 

【自律神経失調症予防法】

3.糖分・油分・アルコールは控えめに

過剰な糖分や油分、アルコールの摂取は、自律神経失調症だけでなく、体に負担をかけてしまいます。
また、カフェインは、自律神経に大きな負担をかけてしまうので、コーヒーを一日に何倍も飲むというのは控えた方がいいでしょう。

 

【自律神経失調症予防法】

4.趣味

自律神経失調症にかかる方には、気分転換が上手にできないという方が多いようです。

 

あなたには、熱中できる趣味がありますか?

自分が楽しいと感じられるような趣味を持つと、それが良い気分転換になり、仕事や人間関係で多少思い詰めてしまっても、乗り越えていけるかもしれません。

 

【自律神経失調症予防法】

5.ストレス解消

ストレスは、自律神経失調症の最大の原因と考えられています。
自分なりのストレス解消方法をみつけ、ストレスをためすぎないようにしてください。

 

また、ストレスと上手に付き合う術を身につけることも大切です。

 

ここからは、自律神経失調症予防としてのストレス解消法を5つご紹介します。

 

ストレス解消法①食事

 

毎日の食生活がストレスに結びついてしまうこともあります。
ここでは、ストレスと食生活についてみていきましょう。

【ストレスをためる!?NGな食べ方】

偏食

極端なダイエットなど偏食によって栄養が不足すると、抗ストレスホルモンが十分につくり出せません。
その結果、イライラの原因になってしまうことがあります。

 

欠食

忙しくて、朝食は食べない!という方も多いのではないでしょうか?

欠食をすると、脳に十分なエネルギーが供給されず、集中力が下がり、仕事や勉強の効率の低下を招くことがあります。

 

暴飲暴食

ストレス解消の手段として、やけ食いするという人もいらっしゃるでしょう。
暴飲暴食は、太ってしまうという恐怖から、逆にストレスを感じてしまうことがあります。

 

ながら食い

勉強しながら、テレビを見ながら食事を行うながら食いは、満足感が得られにくい食べ方です。
自律神経のシステムの混乱を招くこともあり、不眠や情緒不安定などの原因にもなることがあります。

 

では、ストレスをためにくい食べ方はあるのでしょうか?
次の3つのポイントを意識してみてください。

1.規則正しく!

2.食事を楽しい時間に!

3.ストレス解消に効果的な栄養素をとろう!


 

【ストレスをためにくい食べ方】

1.規則正しく!

3食をできるだけ決まった時間に食べると、体内時計や生活リズムが整い、その結果として、自律神経の働きが改善され、ストレスに強い体になります。

 

【ストレスをためにくい食べ方】

2.食事を楽しい時間に!

お気に入りの食器を使うなど、舌だけでなく、脳でも味わうようにすると、満腹感や幸福感につながります。
家族や友人と一緒に、食事をするのもリラックス効果が期待できます。

 

また、ゆったりとした気分で食べると、胃腸の働きが活発になり、消化もスムーズになります。

 

【ストレスをためにくい食べ方】

3.ストレス解消に効果的な栄養素をとろう!

ストレスを感じた時は、次の7つの栄養素を積極的にとると良いでしょう。

①トリプトファン
精神安定・鎮痛・催眠などの効果のあるセロトニンの原料となる必須アミノ酸です。

 

トリプトファンを多く含む食品
バナナ、卵黄、きなこ、牛乳、アーモンドなど

 

②カルシウム
イライラしているときは、カルシウムが不足していると、聞いたことがあるのではないでしょうか?
カルシウムには、神経の興奮を抑える働きがあります。

 

カルシウムを多く含む食品
乳製品、魚類、ほうれん草、ひじき、豆腐など

 

③ビタミンB1
脳のエネルギー源であるブドウ糖の代謝に欠かせないビタミンです。
不足すると、イライラや疲労感、記憶力・食欲の低下を招きます。

 

ビタミンB1を多く含む食品
大豆、落花生、ウナギ、枝豆、卵黄など

 

④ビタミンB6
ビタミンB6が不足すると、イライラや記憶力低下などの中枢神経の障害を引き起こします。

 

ビタミンB6を多く含む食品
レバー、肉類、牛乳、卵黄、マグロなど

 

⑤ビタミンC
ビタミンCが不足すると、ストレスが解消されずにどんどんたまっていってしまいます。

 

ビタミンCを多く含む食品
いちご、オレンジ、ブロッコリー、ほうれん草、ピーマンなど

 

⑥マグネシウム
脳や神経の興奮を抑える働きがあります。

 

マグネシウムを多く含む商品
アーモンド、大豆、納豆、豆腐、昆布など

 

⑦タンパク質
酵素の材料として重要で、酵素の産生低下は、代謝の悪化を招くことがあります。

 

タンパク質を多く含む食品
肉類、魚類、牛乳、乳製品、豆腐など

 

(参考:イライラ・精神安定に効く栄養素―お天気レシピ)

 

ストレス解消法②入浴

入浴は、副交感神経の働きを活発にするため、心身にリラックス効果をもたらし、ストレス解消に有効です。

 

【温度】

ストレス解消には、38℃~40℃のぬるめのお湯が効果的です。
逆に42℃以上の熱めのお湯の場合は、新陳代謝を促す効果はありますが、交感神経の働きを高めるため、ストレス解消にはなりません。

 

【時間】

ストレス解消には、20分前後、湯船につかつようにしましょう。
また、良質な睡眠のためにも、入浴は就寝の1~2時間前までに済ませておくと良いでしょう。

 

【入浴法】

入浴は、肩までつかる全身浴が一般的ですが、半身浴もストレス解消に効果的です。

半身浴は、心臓や肺への負担も少なく、新陳代謝を促す効果もあります。
実は、もっともリラックス効果の高い入浴法ともいわれています。

 

【普段の入浴にプラス!】

①アロマバス
お気に入りのアロマオイルと数滴たらすと、リラックス効果を高めることができます。
香りは、鼻から脳へ直接伝わるので、自律神経にもダイレクトに作用します。

 

②入浴剤

入浴剤は、香りや効能など、さまざまな効果が期待できます。
色にもこだわると、視覚からもリラックス効果を高めることができますよ。

 

③歌う
お風呂に入っているときに、大声で歌ったことのある人は多いのではないでしょうか?
声を出して歌うと、ストレスが減っていくという研究結果もあるようです。
また、好きな音楽を聴くだけでもリラックス効果が得られるでしょう。

 

④本を読む
読書には、ストレス解消効果があることが明らかになっています。
静かな場所で、たった6分間、読書をするだけで、60%以上のストレスが解消できるという結果も出ているようです。

 

⑤足裏マッサージ

足の裏には、ストレス解消に効果的なツボがあります。
湧泉(ゆうせん)
ストレスを解消し、自律神経のバランスを整える効果のあるツボです。
足の人差し指と中指の間で、足の指を曲げた時にへこむ位置にあります。

 

失眠(しつみん)
不眠解消に効果のあるツボです。
湧泉と一緒にマッサージすることで、相乗効果が得られます。

 

【注意点】
入浴は、思った以上に体力を消耗します。
心臓や血管に負担をかけ、血圧や体温が上がりすぎてしまうこともありますので、無理に長時間入浴するのはやめましょう。

 

入浴後はしっかりと体を休めるようにしてくださいね。

 

(参考:美容にも健康にも効果的!お風呂でのストレス解消方法7選―株式会社サンパック)

 

ストレス解消法③アロマテラピー

 

アロマの香りには、自律神経を整え、ストレスを解消し、深いリラックス状態へと導いてくれる効果があります。
アロマオイルには、たくさんの種類がありますが、ストレス解消効果が高いのは次の3つです。

1.ラベンダー

2.オレンジ

3.イランイラン


 

【ストレス解消効果の高いアロマオイル】

1.ラベンダー

ラベンダーの香りには、神経のバランスや血圧、心拍数を整えるなど、怒りや緊張を抑える効果があります。

 

【ストレス解消効果の高いアロマオイル】

2.オレンジ

フレッシュな柑橘系の香りが、明るい気持ちへと変えてくれます。

 

【ストレス解消効果の高いアロマオイル】

3.イランイラン

少し癖のある、甘く濃厚な香りです。
緊張をやわらげ、気分を高揚させる働きがあります。

 

【注意】

アロマテラピーは、天然の植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)を使うことで、本来の効果が発揮されます。
一般的な「アロマオイル」には、精油をアルコールや油で薄めているものが多く、ストレス解消効果は高くありません。

 

アロマを選ぶときには、それが本物の精油であるかという点にも注意してみてください。

 

(参考:ストレスやイライラに効果的な精油―アロマオイル効能ガイド)

 

ストレス解消法④ストレッチ

 

ストレスによって体が緊張すると、自分ではなかなか筋肉を緩めにくくなります。
そんなときにおすすめなのが「筋弛緩法」です。

 

①いすに座り、手や腕、背中、肩、首、お腹、足など各部に10秒ほどグッと力を入れます。
②スッと力を抜いて、20秒間脱力します。
③各部分が終わったら、すべて同時にぐっと力を入れ、10秒間キープした後、スッと力を抜いて、脱力します。

 

(参考:ストレッチで実践!ストレス解消法―Rhythm(リズム))

 

ストレス解消法⑤呼吸

腹式呼吸をすると、リラックスしやすいといわれています。
ストレスがたまってきた…というときには、次の方法を試してみてください。

①目を閉じて、呼吸を整えます。
②体の力をスッと抜き、呼吸に集中しましょう。
③下腹を意識して、鼻からゆっくりと息を吸い、口から吐き出します。

 

この流れを何も考えず、ただ自分の呼吸にだけ意識を向けて行いましょう。
腹式呼吸は、いつでも、どこでも行うことができます。

 

リラックス効果だけでなく、集中力を高める効果もあります。

 

ストレスと上手につきあう3つのポイント

ストレス解消法だけでなく、普段からストレスとうまくつきあっていくことも大切です。
ここでは、そのポイントを3つご紹介します。

1.完璧主義を捨てよう!

2.涙活で感動しよう!

3.他人の目を気にしすぎない!


 

【ストレスと上手に付き合うポイント】

1.完璧主義を捨てよう!

日常生活には、自分の思い通りにならないことが多くあります。
例えば、地球が回っているのも、私たちの思いとは何ら関係がありません。

 

私はいつも「人生80パーセント主義」を提唱しているが、やはり何事も「ほどほど」が大事なのである。

酒も「うまい!」と思うところでやめておく。
腹八分、酒八分、人生八分。

この「さじ加減」ができる人は、バランス感覚のすぐれた、人から信頼され大切にされる人だ。

(引用:斎藤茂太著『「大切にされる人」94のヒント』)

 

これは、精神科医・斎藤茂太先生の言葉です。
また、「モタさん」の愛称でも親しまれ、数多くの著書を出版するなど、作家としても活躍されました。

 

斎藤茂太先生が残した数々の言葉には、私たちがストレスとうまく付き合う上でのヒントが隠されています。

 

【ストレスと上手に付き合うポイント】

2.涙活で感動しよう!

 

感動こそがストレスに負けない最大の秘訣。そして、長生きのコツでもある。

―斎藤茂太―

 

最近では、「涙活(るいかつ)」が話題になっています。
これは、感動の涙を流し、ストレスを解消しようという活動です。

 

みなさんは、ドラマや映画、小説など、その世界に入り込んで、感動の涙を流したことはありませんか?
このように、心を揺り動かされる体験をしたときに流れる涙は、「情動の涙」といわれています。

 

実は、「情動の涙」には、ストレスを解消する効果があるのです。

 

医師・脳生理学者の有田秀穂教授は、「涙活」についてこのように述べています。

 

涙を流すことによって、緊張やストレスに関係する交感神経から、脳がリラックスした状態の副交感神経へとスイッチが切り替わります。

たくさん涙を流すほど、ストレスが解消し、心の混乱や怒り、敵意も改善する事が研究で分かっているんです。

ただし、ドライアイを防ぐ基礎分泌の涙やタマネギを切った時に出る角膜保護の涙は、いくら流しても意味がありません。

ストレス解消に効果があるのは、悲しいときや感動したときに流す“情動の涙”。

脳科学的にみても「涙活」は、大いにやるべきです。

(引用:涙活 Official website)

 

【ストレスと上手に付き合うポイント】

3.他人の目を気にしすぎない!

大丈夫。

世の中の人はみんな、自分のことで精一杯。

あなたのことなんて、気にしているほど暇ではない。
(引用:斎藤茂太著『グズをなおせば人生はうまくいく―問題解決編』)

 

周りの人にどう思われているかなど、他人からの目ばかりを気にしすぎて、自分を見失ってはいませんか?
他人の顔色をうかがって、自分の気持ちがいえなかったり、つい見栄を張ってしまったり…。

 

しかし、自分が思っているほど、周りはあなたのことを考えてはいません。
人は、みんな自分のことで精いっぱいなのです。

 

周りを気にしすぎるのではなく、まずは自分がどうしたいのか考えましょう。
(参考:斎藤茂太精神科医・エッセイスト・日本精神病院協会名誉会長ーABCから始める英語の格言・名言・ジョーク・英会話 ホームページ)

 

自律神経失調症の治療法

自律神経失調症の治療法は、さまざまです。
身体と精神をそれぞれ別々に治療してもなかなか効果があらわれないこともあり、バランス良く治療を行う必要があります。

1.薬物療法

2.一般心理療法

3.整体療法

4.鍼灸治療

5.自立訓練法


 

【自律神経失調症治療法】

1.薬物療法

自律神経失調症の場合、西洋医学の薬だけでなく、漢方薬など東洋医学の薬が用いられることがあります。

 

自律神経失調製剤
自律神経の中枢に直接作用する薬です。
副作用:比較的少ない

 

精神安定剤(抗不安剤)
自律神経の緊張を緩和させ、不安や緊張を和らげる効果があります。
副作用:眠気、めまい、脱力感など

 

ビタミン剤
他の薬と併用が基本で、自律神経のバランスを整える効果があります。
副作用:なし

 

ホルモン剤
女性は、更年期に、自律神経失調症になる方が多いといわれています。
不足した女性ホルモンを補うことで、自律神経失調症の症状が改善されます。
副作用:比較的少ないが、過剰に服用すると、乳がんなどのリスクが高まる

 

黄連(おうれん)
先進の不安を抑える効果があります。

 

抑肝散(よくかんさん)
イライラや不眠などを抑えます。

 

芍薬(しゃくやく)
神経の緊張や血圧、興奮を抑える働きがあります。

 

その他
抗うつ剤 副作用:依存しやすく、急に服用をやめると、めまいや吐き気などが起こることがある
睡眠導入剤 副作用:依存性がある

 

(参考:自律神経失調症ってどんな病気なの?―一般財団法人脳神経疾患研究所・総合南東北病院健康俱楽部8月号)

 

【自律神経失調症治療法】

2.一般心理療法

カウンセリングなどを通して、心の中を整理し、解決へと導きます。
認知行動療法やグループカウンセリング、家族療法などが代表的です。

 

【自律神経失調症治療法】

3.整体療法

体の歪みをとり、自律神経のバランスを整えることで、自律神経失調症を緩和させる治療法です。
特に、骨盤や背骨などの歪みは、自律神経のバランスを乱すと考えられています。

 

【自律神経失調症治療法】

4.鍼灸治療

血液の循環を良くし、体全体のバランスを整えていくというのが、鍼灸治療の根本の考え方です。
鍼灸は、自律神経失調症の治療として注目されています。

 

【自律神経失調症治療法】

5.自律訓練法

一種の自己暗示をかけることで、緊張や興奮を緩和させます。

 

①静かな場所で行いましょう。
②頭のてっぺんを引っ張られているようなイメージで姿勢良く座ります。
このとき、両手は軽く膝の上に置き、体に力が入らないようにしてください。
③軽く目を閉じ、自然に深呼吸をして、「気持ちが落ち着いている」と数回言い聞かせるようにつぶやきます。
④右手に意識を集中し、「右手が重たい」と唱えながら、その手の重さだけ感じるように意識してください。
同様に、左手、右足、左足も順番に行います。
⑤手足の温かさを意識して、感じてください。
⑥心臓の鼓動を感じます。
⑦深く、楽に呼吸してください。
⑧お腹が温かいと意識します。
⑨おでこが涼しいと意識します。
手足やお腹はリラックスすると温まりますが、おでこは涼しくなります。
⑩最後に大きく背伸びをしたり、首や肩を回したりしてください。

 

この一連の流れを3~5分程度、1日3回行うと効果的です。
無理しない程度に実践してみてくださいね。

 

(参考:自律訓練法をやってみよう―ウェルリンク株式会社)

 

自律神経失調症は何科に行くべき?精神科と心療内科の違い

もしかして自律神経失調症かも?と思っても、何科に受診したらいいかわからない…という方もいらっしゃるでしょう。

 

 

身体的な検査で異常がなく、ストレスなどの精神的な負担が原因と考えられる場合、精神科や心療内科へ受診することで改善につながることがあります。
精神科と心療内科は、一見すると同じように思われる方もおられるでしょうが、次のような違いがあります。

 

精神科

うつや統合失調症による「幻覚や幻聴がある」「やる気が出ない」など、脳の働きや伝達トラブルから起こる症状が出るものを扱います。

 

心療内科

例えば、「仕事のことを考えるとお腹が痛くなる」というように、ストレスや不安が原因で、身体の症状が出るものを扱います。
もちろん、これらの違いを知らないと受診できないということはないですし、病院に行けば適切な科を教えてくれるでしょう。
しかし、知っておいて損はありません。

 

また、他の病気が原因で、自律神経失調症と同じような症状が出ている場合もあります。
他の病気が隠れている場合、発見や治療に向いているのが、一般内科です。
それぞれの症状に合わせて、血液検査や心電図、レントゲンなどさまざまな検査が行われます。

 

一方、頭痛や耳鳴り、腰痛といった、体の特定部分に症状が出ている場合は、脳神経外科や耳鼻科、整形外科など、それぞれ専門の診療科を先に受診することをおすすめします。

 

まとめ

 

今回は、自律神経失調症の症状や治療法、また、特に大きな原因として考えられているストレスとの関係についてみていきました。

 

ストレスに負けまいとがんばりすぎてはいませんか?

 

過度のストレスは、精神的な負担になってしまいます。
しかし、ストレスとうまく付き合っていくことができれば、私たちにとってプラスの面もあるということがわかっていただけたと思います。

ぜひ、自分なりのストレス解消方法を見つけてみてくださいね。

 

また、現在つらい症状で苦しんでいるという方は、無理せず、一度、専門の医療機関を受診しましょう。