意外と知らない、筋肉痛の正体は?

激しい運動をしていなくても、重い荷物を運んだり、幼児を長時間だっこしたりしても起こりえる筋肉痛。この痛みをいままで経験したことがないという方はいらっしゃらないのではないでしょうか。

しかし、筋肉痛といえば「筋線維が切れることで痛みが生じる」という見解を持っている方がたくさんいらっしゃると思います。文中でも触れていきますが、筋線維にはほとんど痛覚がないのでこの見解は間違っているという意見が専門家の間では一般的になっています。

中には運動をした証として筋肉痛になると健康であったり、痩せていく実感があってうれしいという方もいらっしゃると思いますが、トレーニングを再開するにも、日常生活を送るにしてもやはり、痛みはない方がありがたいことも確かです。

それでは筋肉痛について確認していきましょう。

筋肉痛の痛みの正体は?

冒頭でも触れていますが、筋線維にはほとんど痛覚がありません。ご存知ない方の為にも一応、補足させていただきますと、筋肉というのは細い筋線維と呼ばれる組織がゴムのように連なり、これが伸縮することで私たちはスポーツをしたり、歩いたりと様々な活動が出来るようになっているのです。

では筋肉痛の痛みの正体ですが、まずは普段、運動をしていない方が急に激しい運動をすると筋肉痛が発生することから、長期間動かさなかった筋肉は伸縮性が悪くなったり、筋肉量そのものが減っています。

その状態で運動をすると筋肉には微細な傷がついていき、やり過ぎると筋線維の断裂なども発生します。次にその傷ついた繊維を治癒するために血液中の白血球が集まり刺激物質(ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニン、プロスタグランジンなど)などを発生させます。

そしてそこから炎症が起きて筋肉を包んでいる膜(筋膜)を刺激することで私たちは痛みを感じます。つまり、傷ついた筋肉を治療するための活動において痛みが発生しているということです。

ちなみに筋肉痛が他のケガよりも早期に回復するのは筋肉にたくさんの血流が普段から流れているからです。それはテレビやメディアなどで筋肉が赤い色をしていることからもお分かりいただけるとおもいますが、反対にアキレス腱の断裂や靭帯損傷の治癒に長い時間がかかってしまうのは普段から血流が少ないからだです。血流が少ないということは栄養素もたくさん流れませんし、白血球も行き渡らないということです。

筋肉痛の豆知識

これまで述べてきたように筋肉痛の原因は筋線維に微細な傷がついてしまうことにあります。そのため、筋肉痛になりたくないという方にとっての一番の予防方法は「普段から運動する」という事に限ります。

しかし、そうはいっても日ごろ忙しくて運動が定期的に出来ないという方もいらっしゃると思いますので、そういった場合はまずは運動前の準備運動と運動後のクールダウンを欠かさないようにしましょう。これをすることによって身体に溜まった疲労物質がキチンと流されて次の日に疲労を残し難くなります。

次に運動をした後にも気を付けられることがあります。例えば運動後の食事では筋肉を構成するたんぱく質を積極的にとったり、血行を改善するビタミンC・E、あるいは疲労回復に効果があるビタミンB1を摂取することもお勧めです。

また睡眠中に分泌される成長ホルモンは筋肉を修復することも、もちろん、次の日に疲れを残さないようにするにも効果的ですから、運動をする、という予定を立てるだけでなくこれから運動の習慣を身に着けようと思っている方は睡眠時間もたくさん取れる時を見計らって始めるようにしましょう。

まとめ

今回は誰にでも一度は起こったことがある、筋肉痛について記事を書いてまいりました。文中でも触れていますが、特に30代を過ぎてから運動をして筋肉痛になると、自分の身体が健康になっているようでうれしい、という方は多いと思いますが、身体や脳にとっては痛みには出来れば避けたいことです。

度重なる痛みで運動が嫌になってしまわないよう、運動の習慣をつける時は計画性を持って臨むようにしましょう。またこちらも文中で触れている通り、筋肉の回復には血行を良くすることが効果的ですので専門家に相談してマッサージをしたり、38~39度ほどのぬるま湯につかることでも筋肉疲れは解消することが出来ます。

健康のためには運動は欠かせないものである。という認識はどなたにもあると思いますが、何事も継続が大切です。いきなり激しい運動をせず、小さな負荷で無理をしないところから始めて運動することは気持ちがいいものであると、身体が認識してくれるように配慮・ケアしてあげましょう。

最後に筋肉痛と思っていた痛みが一週間以上続いている、筋肉痛が終わった後に特定の部位だけ痛みを感じる、運動もしていないのに筋肉痛を感じる。などの症状がある方は誤って骨折や捻挫を起こしている場合もありますし、他の疾患によって痛みが出ている可能性があります。

心当たりがある方は放置して重症化してしまわないよう、お気軽に当院までご相談ください。

筋肉痛

Posted by nomura_staff