世界中で大ブーム!認知症予防として有名な「大人のぬりえ」はストレス解消にも効果的!?

2018年6月16日

みなさんは「大人の塗り絵」というものをご存知でしょうか?
子供が遊ぶものというイメージが強い塗り絵。
最近では、大人用の繊細な塗り絵が人気を集めています。
趣味としての要素もありますが、今注目されているのが塗り絵によるストレス解消効果です。
今回は、ストレス解消法として塗り絵をご紹介します。

 

認知症予防に効果的!「大人の塗り絵」とは

「大人の塗り絵」といっても、基本的には子供たちが遊ぶ塗り絵と変わりません。
大きな違いは、陰影をつけたり、何色も重ねて塗ったりと少し複雑であるということです。

 

この大人の塗り絵が注目を集めたのは、認知症予防に効果があるとしてメディアで紹介されたことがきっかけでした。

特に、日本認知症予防学会の医師が「誰でも今日から始められる認知症予防として大人の塗り絵は効果的」だと、2015年にテレビで発言して以来、高齢者の間で人気が高まっています。

 

長野県松本市などで高齢者向けのカフェを運営する団体「シルバーカフェ」(本部・同市)が、認知症予防に役立てようと、オリジナルの塗り絵冊子を制作した。
上手な色の塗り方を伝えるイベントも開いており、健康長寿を目指すお年寄りの人気を集めている。
冊子はA4判で、アサガオやチューリップなどの初心者向けから、松本城や諏訪大社といったやや複雑なものまで、全12種類の塗り絵に挑戦できるようにした。
輪郭だけが描かれた塗り絵のページとは別に、絵や写真の手本も掲載している。
シルバーカフェ沢村店(同市)の貞松妙子オーナー(65)によると、店を訪れる人の多くは、塗り絵を始めると夢中になってクレヨンや色鉛筆を走らせるといい、「手を動かしたり、どの色にするか考えたり。楽しんで脳を活性化させています」という。

 

(引用:塗り絵で認知症予防…難易度色々12種類に挑戦―2015年9月11日読売新聞)

 

その大人の塗り絵人気は、毎年コンテスト展覧会開かれるほどです。
年々応募数が増えていることからも人気が高まっていることがうかがえます。

 

フランスで大流行!?塗り絵のストレス解消効果

また、最近ではストレス解消法としても注目されています。

 

塗り絵が精神面に与える効果に初めて注目したのが、スイスの精神科医C・G・ユング。
20世紀初頭に活躍した彼は、潜在意識を解放するための手段として塗り絵を治療に用いていたそうです。
ユングは、教会のステンドグラスの配色から、色彩が精神にもたらす影響を考察しました。

 

塗り絵のストレス解消効果について精神学者のGoria Martínez Ayala氏は次のように述べています。
色を付けるという作業には、どの色で塗るかという論理的な面と色を混ぜたり組み合わせたりする創造的な面を含んでいます。
この動作が視覚と細かな動きを司る大脳皮質を活発にし、ストレスの影響を受ける感情をコントロールする脳の偏桃体という部分の活動を低下させるのでリラックス効果があるとのことです。

 

また、1つのことに集中できるというのも塗り絵のストレス解消効果です。

 

In simplest terms, coloring has a de-stressing effect because when we focus on a particular activity, we focus on it and not on our worries.
But it also “brings out our imagination and takes us back to our childhood, a period in which we most certainly had a lot less stress.

 

塗り絵は、創造性を掻き立て、私たちをストレスのない子供の頃へと導いてくれます。
特に、成人女性の就業率が8割近いほど働く女性が多いフランスでは、アートセラピーの一環として「coloriages(コロリアージュ)」が大ブームなんだそうですよ。

 

(参考引用:Coloring Isn’t Just For Kids. It Can Actually Help Adults Combat Stress.―HUFFPOST)

 

絵が苦手も大丈夫!絵を描くことによるストレス解消効果

塗り絵だけでなく、絵を描くことにもストレス解消効果があるということが最新の研究で明らかにされています。

 

研究を行ったのはドレクセル大学のGirjia Kaimal助教授。
実験のために18歳から59歳の大人39名が集めら、彼らには45分間、マーカーや紙、クレヨンなど使って、自由に何かを描くように指示されました。
実験の前後に、コルチゾールというホルモンの量が測定されます。
このホルモンが多い人ほどストレスを受けているということがわかっています。
45分後、75%の参加者らの唾液中のコルチゾールレベルが下がったそうです。
また、コルチゾールレベルの減少率は、その人の絵の経験には関係がないということもわかりました。
つまり、たとえ絵が下手だとしても、絵を描くこと自体がストレス解消につながるということです。

 

参加者らは次のようにコメントしています。

 

“It was very relaxing. After about five minutes, I felt less anxious. I was able to obsess less about things that I had not done or need [ed] to get done. Doing art allowed me to put things into perspective.”
「絵を描くことでとてもリラックスできた。5分くらい経ったあと、徐々に不安が消えていくのを感じ、し忘れていたことやしなければならないことについて考えないようにできた。アートを描くことで物事を客観的に見ることができるようになった。」

 

(参考引用:Artmaking Can Ease Stress Regardless of Training―PsychCentral)

 

まとめ

いかがでしたか?
日々の生活で知らず知らずのうちにたまってしまうストレス。
情報社会といわれている現代では、私たちの脳は軽い混乱状態に陥っています。
全体を見渡して、バランスを考えながら、色を付けていく。
このプロセスが、頭の中にある情報を客観的に見渡して、無駄なものを省いていくのを手助けしてくれるのかもしれません。
外に出て新しいものに触れるのも楽しいですが、たまには家でゆっくり塗り絵をしてみてはいかがでしょうか?