股関節の痛みは放っておくと深刻な事態に?変形性股関節症

階段を上るのが辛い」「しゃがむのが億劫」「歩きにくい」などの症状に悩まされていませんか?もし当てはまる場合は、変形性股関節症を患っている可能性があります。

変形性股関節症というのは、上半身と下半身を繋いでいる股関節の軟骨が徐々にすり減っていき、痛みが現れる疾患なのですが、股関節はどのような動きであっても身体の中心として動くので、ここが痛くなると、とてもストレスを感じると思います。

今回は変形性股関節症に関係する股関節の構造、変形性股関節症の過程症状予防方法についてご紹介し、快適な生活を送る手助けになるような記事を書いていきたいと思います。

股関節の構造

では、本題に入る前に股関節構造から説明していきたいと思います。

股関節というのは、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)の先端部分にある玉のような形をした大腿骨骨頭(だいたいこつこっとう)が、骨盤側にある寛骨臼(かんこつきゅう)と呼ばれるくぼみの部分にはまり、組み合わさることで出来ている関節です。

正常な人の股関節は寛骨臼(かんこつきゅう)が骨頭部分の四分の五を包み込むようになっていて、その骨をさらに筋肉などの組織が覆う事で、安定して体を曲げる反らす歩く立つなどの動きができるようになっています。

しかし冒頭でも触れたように股関節は上半身と下半身を繋ぎ、どのような動きをしても常に動かされるので非常に多くの負荷が掛かる箇所なのです。一説によれば歩くだけでも体重約4倍もの重力が掛かるといわれており、負荷の大きさが想像できることと思います。

では構造についての話を進めますが、寛骨臼と大腿骨頭の両方の骨は剥き出しでつながっているわけではありません。硬い骨同士が常にぶつかっていては骨がすり減ってしまいますので、これを防ぐために柔軟弾力性を持つ軟骨というクッションに覆われています。

また軟骨は骨同士がぶつからないクッションの役割を持つだけでなく、潤滑液としての役割も持ち合わせているのでこの働きによって股関節を前後左右にスムーズに動かすことを可能にしています。

けれどこの軟骨は、人が年を重ねると徐々に磨り減っていってしまうのです。そうなることで少しずつ股関節の骨が変形していきます。その結果、変形性股関節症を発症してしまいます。

変形性股関節症の過程と症状

では次に変形性股関節が、どのようにして進行していくのかを病期に分けて説明していきたいと思います。

前関節症期:股関節の先天的(生まれつき)変形加齢によって、軟骨の表面に摩擦が起こり徐々に消耗していき、軟骨変性していく期間です。この頃は特に痛みを感じないので自覚症状は現れません。

初期:軟骨のすり減りが進行していき、骨同士の隙間が狭くなっていきます。その影響で、関節に負担が掛かり関節炎が引き起こされます。この頃になると、鼠径部(そけいぶ:股関節の付け根)やお尻の横にある出っ張り(大転子)周辺に痛みが現れます。

また軟骨水分減少していくので弾力性が失われていき、股関節の可動域制限され、股を開くあぐらをかく靴を履く階段を上がるなどの屈伸運動が困難になります。

進行期:軟骨のすり減りが深刻化します。こうなると軟骨が覆っていた骨が段々と露出していき、やがて骨同士接触し、摩擦が起こり痛みが増加します。さらに身体の防衛本能によって、痛みの出る箇所をさらに強化しようとして骨が硬くなります。

また硬くなるだけでなく、変形する場合もあり、この時に変形した骨を骨棘(こっきょく)と呼びます。この骨棘はまるでとげのように尖っているので、患部に激痛が現れ睡眠時や安静にしている状態でも痛くなり日常生活に支障をきたします。

また股関節が不安定になると、歩行の際、左右のバランスの悪さにより上半身が落ち着かなかったり、足を引きずったりするようになります。

・末期:股関節の可動域制限が起こりますこれも身体の防衛反応の一つと考えられますが、動かしても痛い、動かなくても痛い、ならばいっそ動かなくしてしまえばいい。ということで骨同士がくっついて股関節が動かないように固定されてしまうのです。この状態になると誰かの手を借りなければ生活できないようになってしまいます。

変形性股関節症の予防方法


変形性股関節
にならないためには、自身の生活習慣見直し、股関節に負担を掛けないようにすることが大切です。

例えば日常生活の中で一番股関節負担を掛けるのは「しゃがむ・かがむ」といった股関節を曲げる動作だと言われています。その他にも立ち上がる時などにも股関節に大きな負荷がかかるので、これらの動作を少なくする工夫ができれば良いのですが、これらは無意識で行われたり、日常的に必ず行われる動作なので回数を減らすのは難しいと思います。ですから体重の管理をしたり、日常的に運動をして腰回りの筋肉低下させないように気をつけましょう。

先ほども申し上げましたが、歩くという動作が行われると股関節には体重の4倍以上重力が掛かります。当然、体重が増えればこの負担も増えますし、脂肪や筋肉と違って骨や軟骨は大人になってしまってから成長することはありません。

そうなれば、同じ骨格で70キロと100キロを支えた場合、その違いは歴然となるわけです。また運動によって腰回りの筋肉を低下させないことも大切です。運動することは筋力を維持できるだけでなく、筋肉柔軟性が保てるのでケガもしにくくなります。

加えて腰回りは身体全体の40%の筋肉が集中していますので、ここを動かしてあげると体重の増加を抑え、ダイエット効果も期待できるのです。加齢によってなかなか激しい運動ができない場合は、ラジオ体操を毎朝したり、身体への負担が少ないわりに腰回りを動かせるゴルフの練習などを行ってみると良いかもしれません。

まとめ

今回は、股関節の軟骨がすり減ったり、消耗することで引き起こされる股関節の疾患、変形性股関節症に関係している股関節の構造進行過程症状予防方法について確認してきました。この疾患は、病期によって症状の程度が異なり、疾患が進行していくと股関節に激痛が走ったり日常生活に支障が起きたりします。

この変形性股関節症を避けるためにも股関節になるべく負担を掛けないよう意識し、普段から体重の増加運動心がけることが大切です。

もしも、歩いている時や運動をしている時に股関節に違和感痛みを感じた場合、一度専門家の元へ足を運んでみてもよいかもしれません。

 

股関節

Posted by nomura_staff