膝の酷使が痛みの原因!鵞足炎とは!?

走ると膝の内側に痛みを感じる階段の上り下りの際に膝に痛みがある屈伸運動をすると内側が痛む。といった症状に悩まされていませんか?膝の痛みを引き起こす疾患は多いですが、もしかするとその痛みを引き起こす原因は鵞足炎(がそくえん)になっているからかもしれません。

鵞足炎は主にスポーツ選手など、ダッシュキックといった動作を行う方に多く見られる疾患です。今回は、そんな膝の痛みの原因の一つ、鵞足炎構造原因痛みの出るポイント予防法について探っていきたいと思います。

鵞足の構造

まず始めに、鵞足の構造について説明していきたいと思います。

普段、まったく聞くことが無い単語だと思いますが、私たちの膝の内側部分縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はっきん)、半腱様筋(はんけいようきん)と呼ばれる3つのが密集して出来ており、そのスジが太もも裏の筋肉(ハムストリング)やお尻周りにある内転筋などの筋肉と繋がっているのです。

そしてその腱が密集している箇所を鵞足と呼ぶのですが、その理由は腱が集中している部分を後ろ側から見ると、まるで鵞鳥(ガチョウ)の足の形によく似ているということが名前の由来となっています。そしてこの部分に炎症が起こり、痛みを引き起こすのが鵞足炎というわけです。

例えばスポーツ選手がしている膝のテーピングに違和感を覚えたことはないでしょうか?膝の皿を囲むようにテーピングをしているので「何を補っているのだろうか?」と疑問を持つ方も多いと思いますが、あれは鵞足周辺の筋を補強しているのです。

鵞足炎を招く原因

鵞足炎の発症の原因については、昨今の医学では未だ解明されていません。しかし、スポーツなどで屈伸運動する際に膝関節を酷使することによって使い過ぎ(オーバーユース)に陥っているという説が有力で、それについてお話していこうと思います。

自身では気づかないだけで、例えばランニングやダッシュなどをしているときは膝を内側に入れる動作、ボールを蹴ったりするときは膝から下を外側に捻る動作をたくさんしています。これによって常に鵞足内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)の間には摩擦が起きているのです。

内側側副靭帯というのは、太ももの骨とすねの骨を繋ぐ役目を果たしている靭帯のことを指していて、鵞足と内側側副靭帯の間には、その摩擦によるダメージから腱を保護する為の鵞足滑液包(がそくかつえきほう)があります。

鵞足滑液包(がそくかつえきほう)というのは腱と骨を繋ぐ位置にビニール袋の様な薄い膜(骨膜)があり、それをさらに覆っている液体というとわかりやすいかもしれません。

この組織は膝の受ける衝撃を吸収和らげるクッションの様な役割を果たしており、常に鵞足や膝関節を守っています。それに加えて鵞足滑液包があることにより、膝関節は滑らかな動きができるため、余計な負担を掛けることなく動かすことができるのです。

しかし膝の屈伸運動が頻繁に繰り返されると、鵞足滑液包が受ける流せる刺激が限界を迎え、負荷を吸収し発散できなくなるので、やがて鵞足周辺に炎症が起こり、痛みを発症します。

それに伴い、身体の防衛本能が働き、滑液の分泌が異常に増えるので、鵞足滑液包が膨張してしまい、患部が腫れ上がり目立つようになります。

鵞足炎の痛みが出るポイント

鵞足炎の痛みは膝の内側だけに現れます。この炎症による影響は膝の外側に広がることはありません。膝中央の内側にある鵞足と付着している膝下の骨や、膝内側のやや後ろに位置する半腱様筋などが痛みの出るポイントです。

スポーツをしている方の場合、初期段階では運動中に徐々に膝の内側に痛みを感じます。それは「走っている時は膝に痛みは無く、走り終わった後の休息時に膝の内側に痛みが出る」というのが主な前兆で、炎症が徐々に悪化していくと、走っている時だけでなく、立っていても座っていても痛みが現れます。

鵞足炎を予防するには?

膝に疾患をかかえる方に多いのですが、鵞足炎に限らず「痛み」があったら休憩をとり、できる事なら専門家へ相談しましょう。例えば鵞足炎は膝のオーバーワークによって引き起こされる、という記述を行いましたが、その「原因」がどこにあるのかは人によって異なります。

練習をし過ぎているわけではないのに鵞足炎の兆候が表れる場合、考えられるのはそもそもの脚が鵞足炎になりやすい構造をしているのかもしれません。

鵞足炎になりやすい構造はX脚と呼ばれる極度の内股、そして膝同士が離れるO脚、あるいはつま先が外に向かっているがに股、というように足がまっすぐ伸びず体の外側か内側に曲がってしまっている場合です。このような脚の形をしていると、先ほどもご紹介した屈伸運動やボールを蹴る動作などに伴う摩擦が大きくなってしまうのです。

確かにこれも一つのオーバーワークといえますが、根本となる原因が足の構造にある時は、そちらを先に改善しないと何度も鵞足炎に陥るだけでなく、腰痛、肩こり、足の変形などほかの疾患も併発してしまう事も考えられますので注意しましょう。

まとめ

今回は鵞足の構造原因痛みの出るポイント、予防など鵞足炎に関わる内容について確認してきました。

文中でも記述していますが、膝は体を動かすときに必ず使う箇所なので、私たちが思っている以上に酷使されています。オーバーワークに限らず、加齢による筋肉の衰えなどによってもケガをしやすい部分です。

それだけ大切な体の一部ですから、痛みが出る前に普段からストレッチなどのケアを行い、楽しくスポーツを続け、年齢を重ねても疾患に掛からないようにしてあげたいものです。そのためには少しでも痛みが発生した場合は重症化してしまう前に、一度、専門家の下へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

鵞足炎

Posted by nomura_staff