足の痺れや痛みに注意!!脊柱管狭窄症はこうして発症する!!

2018年6月16日

突然ですが、高齢者の方がなりやすい背骨の病気、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)をご存知でしょうか?

この病気は加齢によって背中や腰の骨が老化し、肥厚(ひこう:厚くなること)・変形したり、椎間板の突出により脊柱官が狭くなることで脊髄が圧迫され、腰の痛みや足のしびれといった症状を引き起こす病です。

普段聞きなれない言葉が多いですね。まず疾患や原因を知る前に、背骨や脊柱管の構造を理解し脊柱管狭窄症について確認していきましょう。

 

背骨と脊柱管の関係

ではまず初めに背骨の構造から確認していきましょう。背骨は椎骨(ついこつ)という骨が積み重なって出来ています。この椎骨というのは中心に穴が開いているブロックをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。

ちなみに背骨というのは、頭から首にかけて7個、首から背中に12個、背中から腰に5個、骨盤の一部の仙椎と呼ばれる個所に5個、尾骨にあたる尾椎に4個、合計33個の骨が一つ一つ積み重なって出来ています。

次に椎骨の中心に空いている穴には脊柱管というホースのような管が通っていて、さらにその中心には脊髄という神経の束が通っています。聞いた事がある方も多いと思いますが、脊髄というのは人間が体をコントロールする際に用いる電気信号を伝えるとても大切な神経です。

前述された脊柱管を囲む組織に老化・肥厚・変形などが起こると脊髄や血管が圧迫され、腰痛、下肢の痛み、足のしびれ、歩行困難といった症状が現れます。これが今回ご紹介している脊柱管狭窄症の正体です。

また腰の下に位置する脊髄に問題が起きた場合は膀胱、尿道、直腸、肛門といった排尿と排便を司る部位に繋がる神経に悪影響がおよび、歩行時に突然尿意を催してしまったり、排尿障害、股間が火照るなど、日常生活に支障をきたしてしまう場合もあります。

 

タイプ別、脊柱管狭窄症の症状

 

脊柱管狭窄症には、腰から上に症状が出る頚部脊柱管狭窄症(けいぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と腰から下に症状が出る腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という二つのタイプがあります。

頚部脊柱管狭窄症は腕のだるさ、手指に力が入らない、指先や肘のあたりにしびれや痛み、肩や首まわりのコリ、倦怠感などの症状が見られ、腰部脊柱管狭窄症は、腰の重みや痛み、腰回りに違和感、排尿障害、*間欠趾行(かんけつはこう)などの症状が見られます。

 

一口メモ

間欠趾行(かんけつはこう)というのは安静時には何ともない人が、長時間歩き続けていると、両太ももの外側からお尻にかけて痛みやしびれ、強い脱力感が現れ、歩けなくなってしまう症状です。

しかし、しばらく前かがみの姿勢で休んでいると次第に症状が緩和していき、また歩けるようになります。これは腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状なので、もしも心当たりがあれば専門家に相談してみましょう。

 

脊柱管狭窄症が発生しやすいのはどんな人?

脊柱管狭窄症の原因はさきほども確認した通り、脊柱管を取り囲んでいる組織が変形してしまうことが主な原因です。

特に若い頃、力仕事で頑張って無理をしていたり、腰を痛めた経験がある人、長時間運転をしていた人は、歳を重ねることによって椎間板や椎骨の劣化やズレが起こりやすく、脊柱管狭窄症になる可能性が高くなります。

また上記のような仕事、経験がない方の場合でも、腰や背骨の骨同士をつなげている椎間板(骨同士がぶつかる事を避けるクッションの役割)という組織は年齢と共に減少していくので、これが原因となり発症してしまう場合もあります。

 

脊柱管狭窄症の初期症状

脊柱管狭窄症は大きく分けて腰回りと背中回りの2種類のタイプがあるとご紹介しましたが、今度は脊柱管狭窄症の初期症状にはどのようなものがあるのか確認しましょう。

変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう) 

先ほど紹介した通り、年を重ねることによって椎間板が衰えていき、本来持っているクッション作用が失われていきます。こうなってしまうと椎骨の周辺や関節部分が影響を受け、変形したり、トゲのような骨のツッパリが突き出てきたり、脊髄の後ろ側に位置する上下の骨を連結させる靭帯が厚くなり脊柱管・脊髄を圧迫・刺激します。

変性すべり症 

これは女性に多く見られる症状です。腰椎(ようつい)は第1腰椎から第5腰椎まであり、正面から見ても横から見ても本来はとてもきれいに並んでいます。通常は衝撃によって簡単にずれたりしないように柔軟になっていますが、椎間関節 と呼ばれる背骨の関節が破壊されてしまったり、椎間板の異常などのトラブルによって骨がずれてしまうことで脊柱管・脊髄を圧迫・刺激します。

腰部椎間板変性 

これは老化や長年蓄積された負荷によって椎間板が変形してしまう症状です。

椎間板の中心には水分を含んだゼリー状の「髄核」があり、周囲は「線維輪」という丈夫で強固な組織でできています。その役割は、椎骨と椎骨の間にあって背骨の動きをサポートし、骨に加わる衝撃を吸収するクッションの働きをすることです。

ですが、年を重ねることによって体の水分が失われることに伴い椎間板の水分も徐々に失われていくため変性してしまい、力が加わることによってつぶれたり、変形して脊柱管・脊髄を圧迫・刺激します。

 

まとめ

人は老化によって様々な病気を発症します。今回の記事では背骨や脊柱管の構造を知ってもらった後、脊柱管狭窄症の様々な症状や、要因などに触れてきました。

文中でも触れましたが、この病気は若い頃に、腰に負担がかかる力仕事などの肉体労働を長い間やってこられた方が発症しやすいです。特に高度経済成長期を支えた世代にはこういったお仕事に従事していた方も多いのではないでしょうか。

足や腰の痛み、その他の症状が現れた場合、お一人で悩まず接骨院や整骨院など専門家に相談してみましょう。